全日空(ANA)グループと日本航空(JAL)グループは、このほど2016年3月期
(2015年4月1日~2016年3月31日)の連結決算をそれぞれ発表しました。両社とも
業績は好調に推移しており、今後も2トップである両社が日本の航空業界全体を牽引
してゆくことが期待されます。われわれ利用者は、2大メージャー+規制緩和グループ
5社(スカイマーク、エアドゥ、ソラシド、スターフライヤー、フジドリーム)
+LCC4社(ピーチ、ジェットスター、バニラ、春秋日本)を上手に使い分けして
ゆくことが求められる時代がやってきたと言えるでしょう。

ANA/JAL両社の発表によると、JALグループの連結売上高は対前年比0.6%減の
1兆3366億円、営業費用が3.2%減の1兆1274億円、営業利益は16.4%増の2091億円、
経常利益は19.4%増の2092億円。経営効率化の努力によるコスト圧縮が実現した形で、
売上高は微減となったものの2ケタの増益を達成しました。

一方、ANAグループの連結売上高は対前年比4.5%増の1兆7911億円、営業費用が2.0%増
の1兆6547億円、営業利益は49.1%増の1364億円、経常利益は94.7%増の1307億円。
国際線旅客事業の好調が推進力となって、売上高、営業利益、経常利益で過去最高を記録。
2015年度国際旅客数でも、ANAがはじめてJALを上回る結果を見せました。

国際線、国内線別に動向を見てみましょう。

国際線: JAL旅客収入は前年比1.3%減の4487億円、ANAは10.1%増の5156億円JALでは
太平洋線で成田/ダラス・フォートワース線、中国線で羽田/上海(浦東)・広州線、
羽田/北京線など羽田発着の路線を拡充しました。 また、「新・間隔エコノミー」を
テーマとする国際線新仕様機材「SKY SUITE(スカイスイート)」の導入拡大などによる
サービス向上を推進。航空業界のランキング会社であるフライトスタット社により2015年の
国内・国内線の運航実績で世界一位に認定されたほか、アジア・パシフィック主要部門でも
首位に認定。アライアンス部門でもJAL所属のワンワールドが1位となって追い風に加速度
がついた形になったようです。これらの結果、供給では有効座席キロベースで前期比1.3%増加、
需要は有償旅客キロベースで5.4%増加。利用率は前年を3.1ポイント上回る78.8%。旅客数は
3.7%増の808万676人。一方で、燃油サーチャージ減分の影響で、旅客収入は1.3%減の4487億円
となりました。

一方、ANAは成田/ヒューストン・クアラルンプール・ブリュッセル線のほか、羽田/広州・
シドニーを新規開設。ほかにも成田/シンガポール・ホノルル・バンコク線、羽田/北京・
上海・香港線を増便するなど国際線の拡充を行うことで需要取り込みに成功、同時に、日米間
全路線のビジネスクラスでフルフラットシートを提供するなどのサービス面の向上もおこなった結果、
利用率は74.3%で旅客数は前年比13.3%増の816万7000人。旅客収入は10.1%増の5156億円となりました。

国内線: JAL旅客収入は前年比2.8%増の5012億円、ANAは0.3%増(22億円増)の6856億円
JALは今期も地方路線のうち6路線の季節運航を実施したほか、昨年4月から天草/福岡・熊本線、
熊本/伊丹線を天草エアラインとのコードシェアにより開始。サービス面では、「JALスマートスタイル」
のコンセプトのもと、2016年3月から新千歳、伊丹、福岡、那覇空港にて手荷物預かりの効率化を
計りました。これらの結果、供給では有効座席キロベースで前期比1.2%減、需要は有償旅客キロ
ベースで1.5%増加。利用率は前年を1.8ポイント上回る67.9%、旅客数は1.8%増の3211万4322人。
旅客収入は前年比2.8%増の5012億円を実現しました。

ANAは夏期ダイヤから伊丹/函館線を再開、冬期ダイヤから羽田/関西線を増便。また、夏休み期間を
中心に羽田/沖縄戦の深夜運航便拡充などを行う一方、羽田空港の国際線発着枠暫定使用終了にとも
ない、冬期ダイヤより一部の路線を減便。また、小型機材を活用することで利用率向上を実施しました。
その結果、7月以降の台風や冬期の降雪などの影響により旅客数は前期比減となったものの、需要動向に
応じて各種運賃を柔軟に設定する工夫をおこない、利用率は64.7%、旅客数は1.2%減の4266万4000人。
前期比0.3%増の6856億円を達成しました。